初心を忘れた記事は誰も読んでくれない
ライティングというのはとてもいい。書き終わるたびに、ゼロに戻るからだ。
新しい記事のための資料や素材をゼロから集め直し、また真っ白の画面や紙に向き合う。一度使った表現を捨て、また新たなフレーズを探しに出る。
ここまで初心を忘れずにいられる仕事を、わたしは知らない。
初心は案外本質にいちばん近いところにあるといっていい。
経験を積み重ねたほうが物事の本質をつかめると思いがちだが、初心=ゼロの状態である。
子どもにグサリと鋭いことを無邪気に言われて、心がえぐられた経験はないだろうか。
だから本質をわかっていない=読者の立場に立てないライティングをわたしは嫌う。
この記事を読む人はどんな目的でクリックしてくれたのか、その先にどのような記事があればまた別記事を読んでくれるか。
他サイトの情報の羅列にユーザーはうんざりしている。そんなもの並べたって他でもうやり尽くされているのだから、見たってなんの目新しさもない。
並べるべき情報は、筆者なりのエピソードや感想。それと膨大な資料からムダをそぎ落としたゼロに限りなく近い情報だ。
どんなに要領よくまとめた記事を垂れ流しても、だれも読んではくれないのだ。
ゼロに戻るのが怖いなら、ライティングなんて仕事にしないほうがいい。